上達がいちばん速くなる習慣 ——「指した将棋を見直す」ための、くり返し使える手順。
ルール・序盤・基本戦術を一通り覚えたら、次に効くのは「もっと指す」ことよりも指した将棋を見直すことです。強いアマもプロも必ずやっています。先生は要りません。必要なのは自分の棋譜と、1局あたり10分の集中だけです。
この記事では、そのための具体的で再現可能な手順を紹介します。ページ下の盤に自分の棋譜を読み込みながら読み進めてください。
用意するもの:自分の棋譜
棋譜とは、一手ずつの記録のことです。多くのアプリ・対局サイトは棋譜を書き出し(またはコピー)できます。形式は主に次の3つです。
- KIF / KI2 — 日本語の表記。例:
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩や1 7六歩(77)。 - USI — 多くのソフトが使うアルファベット表記。例:
7g7f 3c3d 2g2f。
どれも下の盤にそのまま貼り付けて再生できます。画面でしか見られない場合は、手で並べ直してもかまいません。
棋譜の見直し 5ステップ
いきなり分析しないこと。通して並べ、「どこまで気持ちよく、どこから苦しくなったか」を思い出します。対局中の感覚こそ、本当のミスがどこにあるかの最初の手がかりです。
勝敗を決めるのは、たいてい40手ではなく2〜3手です。形勢がはっきり入れ替わった瞬間 ——タダで取られた駒、不発に終わった攻め、一手遅れた受け—— に印をつけます。研究すべきはその手です。
その局面で止め、正直に答えます。
- 何を見落としたか——相手の狙い、もっと良い手、それとも構想ごと?
- 一手のうっかりか、数手かけてのじわじわ悪化か?
- 次の対局に持ち帰れる原則・形は何か?
上達期の負けは、だいたい次の4つに分けられます。どれに当てはまるかが分かれば、次に何を勉強すべきかも決まります。
- 序盤・準備:定跡を早く外した/形が悪かった。→ 定跡を学ぶ。
- 玉の堅さ・攻めの時機:囲いが未完成のまま開戦した。→「囲ってから攻める」。
- 読みのミス:単純に手順を読み間違えた。→ 詰将棋・手筋。
- 終盤の速度:速度が必要な場面で駒得した。→「終盤は駒の損得より速度」。
エンジンはコーチではなく「事実確認係」です。自分が印をつけた分かれ目が本当にミスだったかを確認し、その後でなぜかを人間の言葉で理解します。評価値は点数より勝率で読むのがコツ。「互角→はっきり悪い」の振れは本物のミス、勝勢の局面での30点程度の揺れは誤差です。エンジンの最善手を全部覚えようとせず、見落とした考え方を1つだけ抜き出しましょう。
ここで自分の棋譜を並べる
棋譜(KIF・KI2・USI)を貼り付けて並べてみましょう。手順リストから、ステップ2で印をつけた分かれ目へ一気に飛べます。
うまく動かないときは、平手の棋譜かどうかを確認してください(駒落ちは未対応です)。
実例:「囲ってから攻める」
上達期の将棋でいちばん多い分かれ目は、玉が安全になる前に攻め始めることです。格言ははっきりしています ——「囲ってから戦え」。見直すときは、玉が中央に残ったまま戦端を開いた手を、特に探してみてください。
見直しのときに思い出したい格言を2つ。
開戦は歩の突き捨てから — 本格的な攻めの前には、筋や斜めの利きを通す準備が要ります。攻めが続かなかったときは、この準備を飛ばしていないか確認しましょう。
終盤は駒の損得より速度 — 終盤では、相手玉に一手でも速く迫るほうが、駒を取るより価値があります。「優勢だったのに負けた」将棋は、ここで受けに一手使ってしまったケースが多いです。
解析を「学習ループ」にする
見直しの目的は、その1局で落ち込むことではなく、くり返すミスのリストを作ることです。こんなメモを残しましょう。
- 傾向:「囲う前に攻めてしまう」→ 対策:美濃・矢倉を完成させてから動く。
- 傾向:「即詰みを見落とす」→ 対策:毎日詰将棋5問。
- 傾向:「終盤で攻めずに歩を取る」→ 対策:駒数でなく速度(手数)を数える。
10局も見直せば、リストは必ず同じことを言い始めます。その「くり返し」こそ訓練すべき場所で、段位に留まるか、抜け出すかの分かれ目です。
続けて学ぶ
これは、基本を終えた人向けの「中級トラック」の一部です。
- 戦法・構想 — レパートリーの選び方と考え方 (近日公開)
- 定跡 — 覚える価値のある基本手順 (近日公開)
- 手筋 — 中盤を制する手筋集 (近日公開)
- 終盤力 — 玉への速度を数える (近日公開)
直近の負け将棋を上の盤に貼り付け、「取り消したい一手」を1つ見つけてください。その一手が、次のあなたの教材です。
🇬🇧 English version: How to Analyze Your Own Shogi Games
